千成亭 美味しさの秘密

近江牛とは何なのか。 その現在と、未来を考えています。

私たちは日本に名だたる近江牛を飼育、販売まで幅広く取り扱っています。
自社ブランドを謳うからには、そこには明確な基準が必要になります。
私たち独自でつくり、貫くべき基準です。
その基準にあわせて、各セクションが連携し、さらなる質の向上に努めています。

良い飼料が、良い肉を育てます。

そもそも、近江牛を育てる農家は、相対的に飼料を大切にします。
普通は飼料を良くすればするほど利益を圧迫するので、餌代を抑えようとします。
近江牛と松阪牛の相場は高いと言われますが、
それは飼料にお金をかけているからなんです。

「◯◯牛」と呼ばれる土地の名が付いた牛は、「どこで生まれたか」ではなく、
「その生涯のうち、どこで最も長い時間を過ごしたか」で決まります。

1日、2日、滋賀県にいたからといって近江牛になれるわけではないんですね。
ですから、滋賀県で最も長く過ごした牛が近江牛ということになります。
その上で、農家がどんな基準を持ってどんな飼料を使っているか、どこの精肉店がどんな基準で仕入れているか。
産地より、それが大切だと思っています。

全体的に良い餌を使っているので、近江牛同士の差というのはつきにくい。
その中で私たちに言えるのは、当社は牝牛しか使わないということです。
それが基準です。
その中で、どれだけの厳しい基準で育てるか。

 

時間かけて、じっくりと育てたい。

千成亭風土がこだわる大切な肥育期間には、脂の融点が低く口どけの良い、食べて胃がもたれない牛肉を求めているからです。
どういうことかと言うと脂の融点が低い牛とは、一番は血統(遺伝子)による差が大きく、次に肥育期間が影響します。脂肪の融点は、肥育月齢が長くなると低くなる傾向があり、脂肪に含まれる不飽和脂肪酸(オレイン酸)の割合が高くなるためです。そのメカニズムをひも解くと・・・・
牛の脂肪酸を不飽和化する酵素は、13カ月齢以降に活性化するといわれています。けれど牛の成長ホルモンは、酵素の発現量を抑制します。体が成長している間は、抑制されますが、成長が止まる頃になると、成長ホルモンの分泌が低下し、そこから酵素が活発になり、不飽和脂肪酸が増えると考えられています。


だから長期肥育として30ケ月齢を目安としています。増体が止まってなお、肥育することはコストが高くなります。畜産業界の取引基準は、格付により大凡の単価が決まり、重量と掛けて取引されます。ですからコスト重視が大勢を占めているのが現状です。それでも千成亭風土では品質を重視し、不飽和脂肪酸が増える長期肥育された近江牛にこだわり続けているのです。

近江牛の持つ、本来の味をつなぎたい。

今は飼料技術が上がっていて、去勢牛の品質も上がっているんですが、
昔ながらの近江牛の味を守りたい。
ですから当社では去勢牛は使いません。
昔ながらの近江牛というのは、もともとしっかりとした味のある牝の処女牛なんです。
出産前ですからキメが細かく、柔らかい。

まずは自分たちが近江牛と信じる味の基準を持つこと。
そして、しっかりとした飼料体系を持って、飼育するということ。
牛の情報、肉質の情報を、各セクションで並列的に知っておくこと。
これを続けることで、近江牛を未来につないでいきたい。そう思っています。