契約牧場「まるさん牧場」
契約牧場『まるさん牧場』
一昔前、牛は田圃を耕していました。
牧場の歴史は40年以上になります。
このあたりでは、40年前はまだ牛で田圃を鋤いたりしてたんです。その牛が鋤かなくなったので、食肉牛として飼いだしました。 滋賀県で肥育している牧場、ということでは古い方だと思います。
ここには生後10カ月ぐらいの牛がやってきます。9カ月や12カ月というのもいますが、だいたい10カ月です。そこから20カ月から24カ月、ここで育てます。 特に千成亭さんは30カ月以上の牝牛に特化されています。
なかなかここまで限定しているところは県内ではないんじゃないでしょうか。 牝の処女牛だけ、というのも、なかなか他では聞きませんね。 去勢牛は1頭も使われません。
ノンビリと、こんなものを食べています。
餌に関しては、大きく分けて育成期間の餌、仕上げ期間の餌の2種があります。 生後12カ月を境にしていて、生後8カ月でウチに来たら、4カ月間与える用の餌があるということですね。 そこからは仕上げの餌になります。
餌には基本的に大麦やトウモロコシ、大豆カスというものを使うんですが、餌のブレンドの仕方は、各牧場で独自のものだと思います。 餌の配合の次にくるポイントは、人間があまりバタバタしないようにすることです。
忙しくなって、慌ただしくなると牛にも伝わってしまうんです。 だから昔から、人間も牛もゆったりと、ノンビリとを心がけています。
日本の心を聴かせています。
場内に演歌を流しています。どんな効果があるか、とよく聞かれるんですが、別に演歌でもクラシックでも効果に変わりはないと思うんです。 人間が気持ちよくなるものなら、牛も気持ちよくなるだろうと。 まぁ日本の牛で和牛ですから、演歌かなと(笑)
あまりビックリさせたりして、臆病に育てれば、牛も臆病になります。 牛たちも視覚や嗅覚で人を判断していますから、私たちでも長く離れていると、忘れられてしまいます。 そもそも、出荷直前の牛には、かなり負荷がかかっています。
餌をいっぱい食べているときはお腹も張ってるし、水分をとっているときは良いんですが、体質的に水分が少なくなって枯れてしまう牛もたまにいます。 先頃、年に2回の家畜社の共栄会があったんですが、最優秀賞をいただきました。 それも人間の働き方というか、そういうものが影響しているとおもいます。
620頭、一頭一頭、顔を見ながら。
現在育てている牛は620頭ぐらい。一戸あたりの頭数は滋賀県が全国一なんですが、戸数の総数は鹿児島や宮崎が多いです。 一軒で600という頭数は県内では多い方だと思います。頭数だけなら10位以内ではないでしょうか。 もちろん、健康状態は一頭一頭の顔を上げて見て育てています。牛が反芻している状態なんかをね。
毎日見ていたら、病気になっても分かるものです。獣医さんを呼んで、体温を測って、食べ過ぎなのか、風邪なのか、診てもらって対処します。 気付くのが1日遅れたら、治るのは何日も遅れます。 体調が悪くてぼぉーっとしている牛は分かるんですよ。寒暖差が激しい時期は特に気を付けます。
環境に慣れて、大人になった牛はあまり心配要りませんが、やってきて2〜3カ月の牛は気を付けてやらないといけません。 人と同じで、環境が変わると体調も変わるんですね。
肉の状態を、ネットで見せあいっこです。
千成亭も、20年近く良いお取引様ですから、お互いにワガママを言いながら、お陰様で支えていただいてます。 商売の厳しい中で、次々に店を出されて、頑張る方ばかりですね。
千成亭の肉への思いというのは、それは強いものです。ちょっとでも状態の悪い牛がいると、一発で叱られます。 私たちよりも長く食肉業界に携わっておられますから。 それはもう、見る目は厳しいです。
千成亭から精肉にしたデータもインターネットを通じて頂いています。 データが良ければ嬉しいし、悪かったら一言われるし…と(笑)、これはテクニックではなく気分の問題ですけれども(笑)、 脂質も、ずっと硬いと言われていて、質を変えるように努力をしてきて、ようやく良くなってきました。
具体的には、赤身でも、味の良いものになるように、餌の配合を変えたりということです。 今はデータも写真もすぐ送れますからね。ロース芯の霜降りの部分とか、他の部分にサシが回っているかとか。モモも、お尻も、写真までお送りしています。 そのやり取りの中で、勉強させてもらっています。